ギャラリー
そのギャラリーはちょうど森を抜けたあたりに
ちょっとコジャレた佇まいで
不思議な雰囲気を醸し出していた
眼鏡の奥が優しいおしゃべり好きなマスターと
きれいでとびきり料理の上手なおとなしい奥さんの二人
和洋骨董とシャレた小物が
ちょっと粋に そして親しみやすく置いてあって
食事をしコーヒーを飲みながらおしゃべりをして
それらを見るのが楽しみだった
奥さんが旅立った夜
きれいにお化粧をして今にも話しかけてくれそうな彼女の前で
私は歌を歌った
マスターのたっての希望で
奥さんが好きだった曲を・・・
マスターの涙が悲しかった
あれからもう1年以上が経ち
店にはまたコーヒーの香りが立ち込めるようになった
今ではマスターが一人
でも笑顔が見られるようになり
以前と変わらないオシャレな空間がそこにある
忘れることはできないけれど
思い出に変えて前を向くことはできるのだと
あなたは背中で教えてくれた
by emiemi0807
| 2012-08-15 22:44
| 思い